2025年4月5日（日本時間）、Mysten Labsは、分散型シークレット管理（Decentralized Secrets Management, DSM）サービス「Seal」をSuiテストネットで公開したことを発表しました。

Sealは、ブロックチェーン上で機密データを暗号化し、スマートコントラクトによって柔軟にアクセス制御を行えるプロトコルであり、Web3時代における安全なデータ管理基盤として注目されています。

Sealとは

SealはWeb3における機密情報の管理を、分散型かつ安全に行うためのDSMサービスです。

既存のWeb2サービス（AWS KMSなど）に依存せず、また特定のウォレットや用途に特化したツールでもなく、一般的な用途に柔軟に適応可能な分散型の秘密管理を提供します。

• オンチェーンアクセス制御
  復号鍵の取得者やタイミングを制御するポリシーは、Moveスマートコントラクトで柔軟に定義可能です。

• 閾値暗号化
  復号鍵は複数のSealキーストアサービスに分散されており、単一障害点が存在しません。

• クライアントサイド暗号化
  ユーザーは自身の端末で暗号化・復号を行うため、データの秘匿性が常に保たれます。

• シームレスなストレージ統合
  保存先は特定のストレージに依存せず、Walrusのような分散型ストレージとも容易に連携できます。

開発者向け情報

開発者はSealのSDKとドキュメントを用いて、簡単にdAppに暗号化・復号機能を統合することが可能です。また、現在はテストネットで提供されており、公式Discordを通じて技術サポートや実装例にもアクセスできます。

今後の展望

SealのようなDSMサービスは、今後のWeb3の普及にとって必須のインフラとなる可能性が高く、以下の領域への展開も考えられます。

• 分散型金融（DeFi）におけるプライバシー保護
  取引情報や担保状況などを特定条件を満たすまで暗号化状態で保つことでプライバシーを保護し、外部からの攻撃を防ぐ。

• IoTと分散型管理
  IoTデバイス間の機密情報共有や認証プロセスを分散型で管理する。

• ヘルスケア・個人情報保護
  医療データや個人情報をオンチェーンで安全に共有する際に、柔軟かつ安全なアクセスコントロールを実現。

Sealは単に暗号化の機能を提供するだけでなく、データアクセス管理を分散化・オンチェーン化し、Web3アプリケーションが抱える根本的な課題を解決できる潜在能力を持っています。

特にゲーム、NFT、コンテンツビジネス、コミュニケーションアプリといった分野での実用性が高く、Web3の普及を後押しする重要な基盤技術として今後の発展が大きく期待できます。